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家を揚げ、そして降ろす。

― 住み継ぐための、昔ながらの技術―

家揚げをして基礎工事を終え、今度は家を降ろしていきます。
ジャッキで少しづつ降ろしながら、新しい基礎の芯に合わせて、家を元の位置へ正確に戻していきます。
昔の木造住宅だからこそできる、繊細な仕事です。

ツメジャッキで降ろしているところ。(2つの内、下の後ろに見えるやつです)

左右のセンターに合わせながら降ろしています。


先日、古い家の「家降ろし」を行いました。

写真を見ると、何をしているのか分かりにくいかもしれません。

実はこれ、建物をジャッキで少しずつ動かしながら、基礎や建物の状態を調整していく工事です。

一般には「家揚げ」と呼ばれることが多いのですが、今回の工事では、揚げた家を最後に元の位置へ戻す「家降ろし」の工程を行っています。

家を壊さずに、家そのものを動かす

今の住宅では、建物を一度解体して、新しい基礎をつくり、もう一度建て直すという方法が一般的です。

しかし、昔の木造住宅には、それとは違う考え方がありました。

建物が傾いたり、地盤が沈んだり、柱の足元が悪くなったりしたとき、

「家を壊すのではなく、家を持ち上げて直す」

という技術が使われてきました。

今回も、建物をしっかりと仮受けし、何本ものジャッキを使いながら、少しずつ調整していきます。

一気に持ち上げることはできません。

木造の建物は、柱も梁も土壁も、それぞれが長い年月をかけて馴染んでいます。

だからこそ、建物の状態を見ながら、少しずつ動かしていく必要があります。

今では、なかなか見ることのできない仕事

実は、この「家揚げ・家降ろし」という仕事は、今ではかなり珍しくなりました。

昔は、地域の大工さんが経験として身につけていた技術の一つでした。

しかし、現在は鉄筋コンクリートの基礎が当たり前になり、建物を丸ごと動かす機会そのものが少なくなっています。

若い大工さんにとっても、実際の現場で家揚げを見る機会は、決して多くありません。

だから私は、こうした現場こそ、次の世代に残していかなければならない技術だと思っています。

古い家には、まだ使えるものがたくさんある

古い家を見ると、

「もう古いから壊したほうがいい」

と言われることがあります。

確かに、古い家には不便なところもあります。

断熱性能が低かったり、基礎に問題があったり、設備が古かったりすることもあります。

しかし、それは「家そのものに価値がない」ということではありません。

太い柱や梁。

長い年月を耐えてきた木材。

職人が組み上げた構造。

そして、その家で暮らしてきた家族の記憶。

それらを全部壊してしまうのではなく、

悪いところを直し、必要なところには現代の技術を加えて、もう一度住める家にする。

私は、それが「住み継ぐ」ということだと思っています。

昔の技術と、現代の技術を組み合わせる

家揚げの技術は昔ながらのものです。

一方で、現在は耐震補強や基礎補強、断熱、気密、換気など、現代だからこそできる技術があります。

私は、

「昔のものだから、そのまま残す」

だけでは十分ではないと思っています。

昔の大工が残してくれた良いものを活かしながら、現代の技術を加える。

そうすることで、古い家を「保存する」のではなく、これからも人が暮らし続けられる家にする。

それが、私たちの考える古古民家リノベーションです。

一軒の家を、次の世代へ

今回の写真は、完成した美しい住宅の写真ではありません。

ジャッキや仮受け材が並び、決して華やかな現場ではありません。

でも、私はこういう写真こそ残しておきたいと思っています。

なぜなら、この一枚の写真の中には、

「この家を壊さずに、もう一度使おう」

と考えた人たちと、それを実現するための職人の技術が詰まっているからです。

家を揚げる。

そして、家を降ろす。

一見すると単純な作業に見えるかもしれませんが、長い年月を生きてきた家を、もう一度次の時代へ渡すための、大切な仕事です。

私たち持田建築は、これからも昔の技術を学び、現代の技術を取り入れながら、

「壊すのではなく、住み継ぐ。」

そんな家づくりを続けていきたいと思います。

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