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近年、古民家を活用した移住・定住が全国で進められています。
しかし、「古民家」と一言でいっても、その建物のつくりはすべて同じではありません。
昔の大工は、建物の価値や品質を「坪数」ではなく、一坪当たりに使用する木材の量や、職人が掛ける手間によって決めていました。
例えば、出雲の在郷屋(私たちが「古古民家」と呼ぶ建物)では、木材を一坪当たり約5石(約1.4㎥)も使用し、約5.0人工/坪という多くの手間を掛けて建てられていました。太い柱や梁が使われ、長く住み継ぐことを前提とした、非常に堅牢な構造です。
一方、町屋は限られた敷地や経済性を重視して建てられたため、一般的には木材の使用量や大工の手間は在郷屋の約半分程度でまとめられることが多く、構造の考え方も大きく異なります。商いを目的とした町屋と、代々住み継ぐことを目的とした在郷屋では、求められた役割そのものが違っていたのです。
そのため、町屋と在郷屋を同じ「古民家」として扱い、同じ改修方法や同じ基準で移住・定住住宅に転用することには注意が必要です。
設計者にとって最も大切なのは、住まわれる方の命と安全です。
建物の種類や構造を十分に調査せず、一律に「古民家だから大丈夫」と判断することはできません。建物ごとの特徴を見極め、その建物に合った耐震・断熱・基礎補強などを行って初めて、安心して住み続けられる住まいになります。
私たちが「古古民家」という言葉を用いているのは、単に古い家を区別するためではありません。
先人が豊富な木材と高度な技術、多くの手間を掛けて築き上げた在郷屋の価値を正しく評価し、その価値を未来へ受け継ぎながら、安全で快適な住まいとして再生していくためです。
古民家を未来へ残すためには、「すべて同じ古民家」と考えるのではなく、その成り立ちや構造の違いを理解し、それぞれに最適な改修を行うことが何よりも重要なのです。
在郷家:木材が丸太組の為、トレーラーで運ぶ程だった。


町屋:間口が狭いために地震力より風圧の方が大きくなり、基礎配筋は短編方向が2倍必要になった。

新築の為、許容応力度計算による。

町屋ではあるが新築の為、昔の勘による木材使用量ではなく構造計算により算出されている。