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Nさん & 持田建築社長 & インテリアコーディネーター
今回のSTORYデータ
島根県出雲市、築150年の古民家を購入し高性能住宅へリノベーションしたNさん。 「古民家暮らし」のきっかけや、現在の住み心地についてお話を伺いました。
DATA | |
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家族構成 | 夫婦、こども1名、愛犬 |
築年数 | 150年 |
居住年数 | 6年(2017年8月竣工) |
建 物 | 木造2階建て/39坪 |
施工内容 | 外壁・1階のみ断熱改修、耐震補強 水まわり、LDK、プライベート空間を一新 |
工事期間 | 5ヶ月 |
VOICEs
きっかけは?
「関西から妻の出身地島根へUターン」
Nさん:以前は関西に住んでいましたが、住まいを求めるにあたり夫婦で話し合って、妻の出身地である島根に移り住むことを決めました。もともと「山に住みたい」という思いがあったので、まずは自分のイメージに合う土地探しからスタートしました。
持田建築に決めた理由は?
「親身な提案に信用できると確信」
Nさん:決め手は地場の情報に詳しく、子どもの校区についても他では教えてもらえなかった情報を含め親切に教えてくださったことです。
土地探しを始めて有名な大手メーカーさんをいくつか回りましたが、なかなか思うような情報は出てきませんでした。
そこで、もっと色々な情報をもっていそうな地元の工務店さんに相談してみることに。ただ、土地勘がなくどんな工務店があるかわからなかったのでGoogleマップで住みたいエリアにある工務店を探したところ、たまたま見つけたのが持田建築さんでした。「もうすぐ小学校が統合するから、距離を考えて新しい小学校の近くで探した方がいい」と、親身な提案をくれたのは持田建築さんだけで「この方なら信用できる!」と思いお願いすることにしました。
この家との出会いは?
「運よく見事に条件が合う物件を発見」
Nさん:色々と探してもらい、運よくタイミングとご縁が重なって無事に希望の暮らしが叶えられる場所を紹介していただきました。その時は、まさか自分たちが古民家に住むなんて思ってもいませんでしたが(笑)。この出会いから、元の家主さんとは今も仲良くさせていただいています。裏山で筍採りを教えてもらったり、草刈も手伝ってもらうなど本当にありがたいです。
持田:私どもにお願いしてもらって非常に嬉しかったですが、条件に合う場所を探し出すのは一苦労でした。それでもNさんの強い思いに応えたくて、うちのOBさんや地元の色々な方に聞いて回りました。そんな時、ちょうど解体を検討中の家を発見して、見事に条件が合致したので紹介することができました。
住まいへの要望や意識したことは?
「予算内で快適に暮らせる家」
Nさん:とにかく予算内で快適に暮らせるようお願いしました。実は当初新築を考えていましたが、自分たちの予算で希望するボリュームを叶えるのは難しいとわかり、もともと建っていた家を直して住むことを提案されました。
築150年と、かなり年数が経っているお家だったので正直驚きましたが、持田さんの技術できちんと改修すれば快適に暮らせると聞いて安心しました。
持田:古民家は見た目の傷みはひどくても造りが丈夫なので直せば全く問題ありません。今回も現況調査や耐震診断をして大丈夫だと判断しました。最初は解体を検討しておられた元の家主さんにも説明し、「費用をかけて壊すより、新しい家族に住んでもらう方が良い」ということで話が決まりました。
木造2階建て、瓦屋根と土壁に田の字型の典型的な農家づくりの家。 予算が決まっていたので最小限の改修で高性能な住環境を叶えるため、2階は切り離して1階で生活が完結するよう設計しました。
古民家改修は、予算とのバランスを取りながらプロの目線で見極めた提案が大切です。安易にできない場合もありますが、今回は建物の状態や大きさもちょうどが良かったので実現できました。
工事中大変だったことは?
「寒さと戦った初めての壁塗りは家族の記念」
Nさん:壁を自分たちで塗ったんですが、ちょうど大寒波の年だったのでとても寒くて過酷な作業でした。初めてコテを触りましたが、やっていくうちに段々と慣れて腕が上がって。家族みんなで約1週間かけて仕上げた塗り壁。味のある仕上がりにとても満足しています。リビングの天井には記念に家族の手形を残しました。作業は大変でしたがコストカットにも繋がったし、何より達成感があって家に愛着が湧きました。
出来上がりはいかがですか?
「古民家が快適で暮らしやすい家に大変身」
Nさん:築150年の古民家とは思えない快適な住まいになりました!1階だけの改修でしたが、家族3人で暮らすにはちょうど良い広さでした。特に古民家暮らしにこだわったわけではないので、家族が生活しやすい動線と機能性を重視。
間取りは3LDKと水まわりに収納を多めにつくってもらい、以前の面影がないほど変わりましたね。続き間の和室はフローリングに変えて縁側と繋げ広々としたLDKに。居心地の良い家族団らんスペースができました。
水まわりもガラッと変えました。洗濯物を外に干したくなかったので室内にランドリースペースを確保。天候に左右されず干せて、虫もつかないですし、室内でもしっかり乾くので助かっています。
「マウンテンビューがお気に入り」
Nさん:浴室には大きな窓を取り付けました。湯舟に浸かりながら緑豊かなマウンテンビューが楽しめるのでお気に入りの癒す空間となっています。
和とカントリーが融合したダイニング
Nさん:ダイニングキッチンは妻が内装デザインにこだわって、タイル調の床とクロスにアンティークな家具、梁にはアイアンのフックを取り付けてカントリー調のかわいい空間に仕上がりました。
提案はいかがでしたか?
「空間づくりの楽しさを実感」
Nさん:自分たちは全く知識が無かったので、色々と提案してもらいながら形にしてもらいました。最初は特に古民家には興味なかったんですが、途中から「古民家って結構いいんじゃない?」って思うようになって。どうなるんだろう?と想像しながら進んでいく感じが、すごく楽しかったですね。リノベーションだから味わえたと思います。
持田:改修は骨組みを残し、基礎から床・壁をすべて一新。私が性能や構造設計を担当し、インテリアコーディネーターが間取りや空間と内装について提案するという形で進みました。打ち合せを重ねる度にプランが変わっていったけど、結局最初のプランに戻りましたね(笑)。
インテリアコーディネーター:構想は3ヶ月くらいかかりましたが、現況を確認しながらその都度アイディアが湧いてきて楽しかったですね。
Nさん:玄関は畳が敷いてあり、ちょっとした来客はちゃぶ台を出してこちらで対応します。
奥の建具はもともと外にあった飾り戸でデザインが気に入ったので建具に作り替えてもらいました。
「忍者扉」と呼んでいる玄関横の戸は、キッチンへと繋がっています。買ってきた荷物をすぐに運べるのでとても重宝しています。
設計のポイントは?
「今あるものを有効活用」
インテリアコーディネーター:家事動線や使い勝手を最優先に考えながらも今あるものを活かすなど、できる限りコストカットが図れるよう工夫しました。ある程度制限のある中で、色々と考えるのも楽しく、それがリノベーションの醍醐味ですね。
持田:黒い梁や煤竹に建具など、味のある古材をデザインとして取り入れていくのも古民家の面白さですね。結構手間がかかって大変なんだけどね(笑)。
もともとあった紅葉模様のガラス戸を再利用。
レトロ感があってかわいい。
天井に見せた黒い梁。
落ち着きのある空間を演出している。
実際の住み心地は?
「山の中の古民家とは思えない驚きの快適さ」
Nさん:家の中はだいたい22℃~23℃に設定してあって一年中快適です。夏でも湿度を感じずサラッとしていて、冬は外の寒さを忘れるほど暖かいので薄着で過ごしています。驚いたのは室内で虫の姿をほぼ見ないこと!外は虫だらけなのに (笑)。気密性が高くて隙間がないので入って来られないんだと思います。それと犬を飼っているのにニオイが気にならないのも、高性能なつくりで24時間換気のパワーが発揮されていることを実感します。
本当に「古民家暮らし」とは思えないほど快適で、ここが山の中だということを忘れるくらい。まるで、マンションのワンフロアにいるようで都会の暮らしと同じ感覚です。唯一草刈だけは重労働ですが、里山で自然の恵みも戴きながら、自分たちらしく「がんばらない古民家暮らし」を満喫しています。
持田:色々と住宅性能を研究していく中で、現在のハイレベルな快適性を標準とした家づくりができるようになりました。
断熱には吹き付け断熱を採用し、高い断熱性と気密性をとることで効率よく空気をコントロールできます。だから、この家は古民家なのに14帖のエアコン1台で十分快適なんですよ。
STORYはつづく
リノベーションを通して感じたことは?
「古民家の魅力を知り、活用ニーズの高さに可能性を感じた」
Nさん:住み始めてじわじわと古民家の良さがわかりました。自然と家具もアンティークなものを好むようになって、新しいものにはない本物の重厚感やヴィンテージの魅力に気づくことができました。
そして、自宅をきっかけに住宅改修に興味をもち色々見学しましたが、ひどい施工レベルの会社が多いことにショックを受けました。ただ同時に、持田さんの施工レベルの凄さもわかりました。リフォームやリノベーションでも、普段から当たり前に新築と同じ高い基準を設定し、きちんと実行できる会社はとても貴重だと思いました。
実は、この経験をもとに「出雲暮らし」を紹介するブログを始めたら、色々と相談が来るように(笑)。古民家活用のニーズの高さを実感し、今では空き家となった古民家活用を考えるコミュニティを立ち上げて活動もしています。私たちの活動によって今以上に古民家の魅力や価値の高さが広り、地域の里山を守る人が増えることに繋がったら嬉しいですね。
持田:このような活動に繋がったことが嬉しいですね。
建築士として大切なのは財産と生命を守ることだと常々思っています。これは当たり前のことですが理解していない人もいるのが現実です。良い家を作るには、新築・リノベーションに関係なく、屋根や壁、断熱、耐震性などを最初からしっかり考える必要があります。私たちはその点を絶対に怠りません。だから、地震が来ても私たちが建てた家は残ると自信を持っています。これからも自分たちの理念を貫いて、地域に残る古民家の良さを活かしながら快適な住まいを提供していきます。今後も地場の工務店として困った時に頼りにされる存在であり続けたいですね。