新着情報 Topics
黒松の天井板はステータスだったんです
戦後しばらくして木材は「無節」が主流になったようです。それまでは木には節があって当たり前「節のない木は無い」と思われていました(お殿様は別)。付加価値を付け最大限高く売ったようです。
むかし、紀州の山師(山で木を育て切出す人)の方に「磨き丸太」を買いに行って、あまりにも値段に差があったので「値段の差はさんですか」と尋ねたら、「丸太を製材し柱にした時に節が出るか出ないかだ」と言われました。製材をしないうちにそれが分かりますか?と尋ねたら、「育てた私はそれを知っている」と言われました。「それが分からなければ山師でない」と言われました。日頃は製材された製品だけ見ていたものでショックでした。
また、40㍉∮の丸太を注文したいと言ったら、「そんな物、無い」とはっきり言われました。「必要だったら3年前に注文してくれ」と言われました。作っている物は45㍉∮のもので、それに合わせて枝打ちをするので、今より5㍉小さい時に枝打ちをしたものでないと40㍉∮に切出せないそうです。今考えれば当たり前の事ですね。
黒松の天井板に戻りますが、むかし山陰(北山)には、黒松が沢山育っていました。直径1mの物が売るほどあったようです。それを床の間の地板にしたり、さらに多きものは、客間8畳二間の天井造作材が一本の木で取れたようです。特に「鴨居・長押・欄間敷居鴨居・廻縁・2重縁・竿縁・天井板」これ程を1本の木で取れるくらいの大きい木を山から出すのが自慢だったようです。今でいう高級車に乗る感じだったと思います。
そういう話を知っているお施主様だからこそ「黒松の天井板」の再利用に積極的になっておられます。打合せの中で「先代のお父さんが大切にされ自慢されていた」と話されていました。その価値観を認めているからこそ、そして、当社がそんな移築を実施して来た事を知っておられるからこそ、今回の話が来たのだと思います。
しかし、その経験者は還暦を過ぎて来ました。仕事が次世代に継がれていないのが非常に残念ですが、可能な限り要望に応えていきたいと思います。
頑張ります。
32年前の天井板外し機再始動
これで外すと天井板がバラバラにならないんです。
※一緒に仕事するスーパー大工募集中!